東京高等裁判所 昭和53年(行ケ)61号 判決
一 請求原因一の事実は当事者間に争いがなく、引用商標の構成、指定商品、登録出願及び設定登録の各日、商標権者が審決認定のとおりであること並びに本件商標の指定商品と引用商標の指定商品が同一であることは、原告の明らかに争わないところである。
二 よつて、本件商標と引用商標の類否について検討する。
本件商標から「バルビゾン」の称呼も生ずることは原告の自認するところである。
引用商標が別紙第二に記載のとおりの構成から成ることは、前示のとおりであるところ、これによれば、引用商標は、欧文字を筆記体で左より右上りに斜め横書きにしたものであり、その欧文字が「Barbizon」の綴字から成ることが一見して明らかであるから、「バービゾン」とともに、「バルビゾン」の称呼も生ずると認めることができる。
そうすれば、本件商標は、引用商標と称呼において類似する類似の商標であると認めるのが相当である。
原告は、商標の外観、称呼、観念のうち、その一つが類似していれば直ちにその商標は類似するというのは早計に過ぎると主張するけれども、商標は、その外観、称呼、観念のうちの一つが類似していれば、特段の事情のない限り、類似の商標と解して妨げないものであるから、その主張は理由がない。
さらに、原告は、右三者のうちの一つが類似していても、本件商標と引用商標との間においては、これを非類似とすべき特段の事由があるとして、種々の事実関係を主張しているけれども、未だ前示判断を覆すに足りる事実を認めうる証拠はない。
三 そうすれば、本件商標は、その登録出願の日(昭和四五年一一月三〇日)前の商標登録出願(昭和三八年一月九日)に係る他人(被告)の登録商標(引用商標)に類似する商標であつて、その商標登録に係る指定商品と同一の商品について使用するものであるから、これを商標法第四条第一項第一一号の規定に違反して登録されたものとして、同法第四六条第一項の規定により右登録を無効とした本件審決の判断に誤りはなく、原告の本訴請求は理由がない。